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韓国人と楽しく付き合う方法

似ているのに似ていない。でも、異なっているようでどこか相似形(そうじけい)もたくさんあって、それだけに感じてしまう日本人と韓国人の文化の違い・・・。日頃感じている「あれっ」と思うことや「どうしたら解決できるのか」という素朴な疑問に在韓のベテランたちが語る、韓国人と楽しく付き合う秘訣とは?

縛る関係の日本と結ぶ関係の韓国

● 司会:みなさん韓国の方については、どのような印象を持たれているのでしょうか。

● 日郎:韓国人は日本人と比べると人間関係において壁が低いと思いますね。

● 日母:日本人の場合は間があるというか、韓国人は突き破って入ってくる感じ。距離感がないんですね。

● 日研:私は韓国人も日本人も違いがなくなってきているような気がするんです。韓国人が日本人化していて、日本人が韓国人化しているといいますか。

● 韓雄:私も7割は似ていると思います。ただ、日本人は縛る関係で韓国人は結ぶ関係という点が違う。

● 司会:では、そうした違いがある韓国の人とどう付き合っていけばうまく、楽しくやっていけるのでしょう。

● 韓雄:まず、互いを理解することが本当に大切だと思いますね。相手が勝手なことをしても相手のスタイルだと思わないといけない。まずは、互いの特徴を知ることが大切だと思う。

● 日研:例えば、小さいことにいちいちこだわらない。約束時間とか。

うそん:韓国人は味方か敵かを判別したがりますおね。だから例えば、相手の年齢とか職業とかいろいろ聞いたりする。そこでちょっとひるんでしまうと、自分の敵だと判断されてしまうという話を聞いたことがあります。男性にとっては、酒の飲み方も重要です。韓国人は記憶をなくすまで飲むし飲まされる。トップで駐在ということになると、200万Wほど払って身銭を切れば後の3年は無事に過ごせるという話も聞いたことがあります。

● 司会:自分で払っているのかそうでないのか、韓国人もよくみていますよね。

● 日郎:そうです。現金でないといけないそうです。会社のお金で払っているのかどうかも見ているから、最初はともかく親しくなるために大変でも身銭を切る(笑)。

● 日母:壁を作らずに入り込んで行くことも大事だと思います。主婦だったら、韓国の人は長時間居座る人もいるので、けれど、嫌な時は嫌だときちんと断る。

● 司会:今の話で思い出しましたら、私の妻は韓国人なのですが、日本人はどうして約束をしないかぎり家に来ないのと聞かれたことがありました。宅配を預かっていると届けてくれた時は3時間も立ち話をしたのに、その時も何度誘っても家に入ってこなくて、とても不思議だったというんですね。

日本人は不便をかけないようにしていて、韓国人は不便は言ってくれるだろうと思っている。

● 韓雄:ストレートにものを言うということは、韓国人の礼儀なのではないかな。私は長い日本での生活から韓国に帰って来て、同じ韓国人なのに多めにみるのに時間がかかりました。半年以上かかったかな(笑)。約束がある時は10分前に行っても韓国では30分後に来たりする。それでも、ああそうか、韓国式と納得してしまえばいいんです。

● 司会:多めにみるほうがうまくいくんですね。

● 日研:私は韓国に住んでいて韓国の習慣が自然に身についてしまって失敗したことがあったんです。米国にいる日本人の知人の家に行った時に、勝手に冷蔵庫を開けてしまって、怒られてしまった。

● 韓雄:日本の場合は、人のものと自分のものの境界がはっきりしている。韓国はその点曖昧です。自転車なんかも、韓国は本当に自由。あれば乗ってしまって後で返せばいいという感じなんですよ。

● 司会:そういえば、日本人できちっとしている人は、韓国に来るときちきちしなくてよくていいという人もいますね。

● 日研:逆に、韓国人は日本に行って色々聞かれないから楽になるって言っていた人もいました。

● 日郎:韓国人の女性で30歳前後だと結婚結婚とうるさくいわれるから、すぐ留学先の日本に帰るという人もいます。

● 韓雄:知り合いの韓国人が、日本に出張に行って来たのですが、ああ、ここは日本だと感じたのは、道で人々の間を抜いて行くテクニックを目の当たりにした時だそうです。韓国だとぶつかって行きますから、それができなかったというんですよ。

● 司会:日本人は逆に、日本に行ってもバスに乗ろうと走っちゃったりしますよね(笑)。

韓国は、人ベースの組織

● 司会:会社という組織の中では何か違いがあるでしょうか。

● 韓雄:韓国では会社で自分の家に電話したりするのも平気です。でも日本にはあり得ないでしょ。

● 日郎:韓国では会社が個人のものを使っています。日本では会社から支給された携帯の他に個人の携帯があるけど、韓国はそうではない。

● 日研:私は国際電話を掛ける時は会社からしていますが(苦笑)、やはり罪悪感がありますね。そういえば、社員が電話を使いすぎて会社がつぶれたと聞いたこともありました。冗談のような話ですが、韓国ではありうることです。

● 韓雄:韓国にも企業戦士時代もあって、まだ、人によっては組織のためという人もいますが、大きな流れとしてみますと、IMF事態(1997年)の経済危機を境に組織も最悪の時はなにもしてくれないと韓国の人皆が悟ったんですね。それ以降は、家族を大事にする人がより増えて来ました。

● 日郎:でも、例えば、韓国で代表と父が危篤の時を比べると代表が優先されます。組織というよりトップの言うことは絶対です。さきほど、人間関係のところで、おおらかに付き合うとか、とびこんだほうがいいという話もありましたが、組織の時は気をつけたほうが賢明だと思います。組織に入ると仕事中心というよりは政治的動きが多いですから。

● 司会:韓国では、会社は家族という概念がありますが、あまりなんでも話をしないほうがいいという話もありますね。

● 韓雄:組織といった場合、日本では組織でできることとできないことが決まっていますが、韓国では曖昧です。人によるといいますか。韓国の場合は人がそのまま組織になっている。

● 日母:だから、韓国の場合は日本より忠誠心がないような気がします。キャリアアップの傾向が強い。

● 日研:世界で一番社長が多いといわれる国が韓国ですものね。

日本と韓国のビジネスの違い

● 司会:赴任して来る日本人が知っておかないといけない知識とはなんでしょうか?

● 日母:韓国語ができない方が多いので、少しは身につけておかれたほうが。知らないうちに捺印してしまって大変なことになりそうになったこともあります。

● 日郎:やはり、まず、職員からの信用が大事だと思いますね。日本から来る会社のトップの方は、赴任されたからには十年くらいいるつもりでやってほしいですよね。

● 司会:そういう気持ちでないと信用してくれないということですね。

● 韓雄:よく観察しないといけません。誰がどの位置にいるかを見極めるのが大事だと思いますね。つまり、肩書きではなくて、誰が組織を引っ張っているのかを見極めるのが大切なのです。

● 司会:なるほど。日本の組織はパワーと役職に相関関係があるが韓国ではそうではない。上手に付き合うには人をみないといけないんですね。

● 日研:韓国では何よりも人脈ですよ。

● 司会:韓国では部下の可愛がり方も違いますね。

● 韓雄:まさに親分子分関係というか。日本の場合のようにきちきちやっているとうまくいかないし、お酒を飲んだら親分と同じように飲んで休日もきちんと付き合う。日本式でやっていくと大変かもしれない。

● 日郎:さきほどもでましたが、韓国では仕事中心というより人中心で動いていますよね。人ベースでまずは考える。

● 司会:韓国の人は好きだったら一生懸命やってくれる。人間としてどうやっていくかが大事で、やはり、バランスが大事だと思いますね。

● 日母:父のように可愛がってくれるアボジ型(父型)とお兄さんのように囲い込みでかわいがってくれる兄型がありますよね。

● 司会:会社というより個人への忠誠だと思うんです。韓国人から日本は約束に厳しすぎると言われたことがあります。日本は切腹の文化があって、説明するのが恥ずかしいこと。でも、韓国人は自分に責任がある時はあやまるけど、日本人からすると言い訳に聞こえるとそういうトラブルも多い。

● 韓雄:韓国では予測できないことが多いことを知ってほしいですね。まずそれを理解するべき。言い訳が多い文化ということを理解してしまう。本当に言い訳しないといけないことがこの国では多いんですよ。全部守れといわれると仕事はできない。

● 日研:逆に日本はあまりにもきっちり過ぎる。釜山に行った時はKTXが10分遅れましたが、日本ではありえない。でも、日本の社会があまりにも精密に動いているのでかえってストレスが多いのではないのかな。つまり、韓国の方が心の余裕がある。日本人があまりにも正確すぎる。

● 韓雄:できることとできないことが日本でははっきりしているでしょ。でも、韓国ではそこも曖昧なんです。日本で契約できないと思ったことも韓国ではできる場合もある。柔軟性を持たないと韓国では仕事できないし、約束もできない。

● 司会:柔軟性と言うより合理性かもしれないですね。日本はきちっとすることに価値があると思っているから硬直する。

● 日郎:韓国の人たちの環境に合わせる能力はすごいですよね。経済危機だってあんなに短い間にハードランディングしても大丈夫だったんですからね。

● 日研:楽観的なところもある(笑)。

● 日郎:韓国は言い訳が多くて謝らないなとも思いますが、米国のほうがもっと謝らないですよね。でも、日本人は米国だとあきらめる。それなのに韓国では怒ってしまう。逆に日本がおかしいかもしれない。

● 日研:日韓だと同族意識があるんですよ。海外に出てすぐ仲良くなるのは日韓ですよね。

● 韓雄:日本では、納期は絶対ですよね。韓国では納期が守られない場合も多い。でも、けしからんではなく、次は無理な状況でもやってくれる時がある。

● 日郎:そう、人ベースなんですよね。人ベースで動いているんですよね。

● 司会:日韓では仕事の進め方も違いますよね。日本は深く深く先を考えている。韓国人にはこれは想像できない。韓国の人は逆にゲリラ的な能力があることを日本人はあまり知らない。韓国人に日本式を押し付けてはだめですよね。

● 日郎:先日韓雄さんから聞いた話が印象的でした。韓国はモグラ叩き経営だというんです。無理な目標を立ててやると問題が出てくるけど、そのモグラをひとつずつ叩いてやっていく。日本はいつどんなタイミングでモグラが出て来るか、まず考えちゃう(笑)。

● 韓雄:日本は1年計画だと5ヶ月ほど考えるでしょ。韓国はどうせモグラは出ると考えてやっていく。出て来るモグラは叩けばいいとやっていくんです。予想もしなかったモグラが出て、それはそれは大変なんですけど、叩いて叩きながらやっていく。それで結果はというと、100、200パーセント達成したりするんですよ。

● 司会:つまり、韓国はビジョン構築と戦略性があるんです。日本はそういうのはないですね。だから役割分担していくとうまくいくのではないでしょうか。

郷に入れば郷に従え

● 司会:韓国の人と気持ちでうまく付き合っていくのはどうしたらいいのでしょうか。

● 韓雄:相手を理解するのがいかに大切なのかということだと思います。ここは韓国だと日本と違う国だと理解するのが大事だと思います。互いに理解しようとする姿勢が大事なのではないでしょうか。まず、韓国社会の中に溶け込む、多めにみて、いらいらしない形で溶け込んでいくと、日韓は近いところも多いので仲良くなると思いますよ。

● 日母:勘違いしやすいので互いに違うんだなということをかわるのが大事なんだと思います。まずは、よく遊んで、よく食べて、よく見ていくのが何よりです。

● 日研:郷に入れば郷に従え。関係なく、溶け込むことが大事だと思いますね。日々のなにげないことをメモにとったら本にできますよ。そうしたら、韓国生活もブレイク間違いなしです。ブログでもできるし、そういう風におおらかに、ストレスをためないでいくと生活しがいが出てくると思いますね。

● 日郎:韓国にくると町並みも人も似ているし、どうしても逆に違うところがクローズアップされてしまいますが、違うところばかりみていると不幸せになっちゃうんですね。違うことを認識していくとハッピーなのではないでしょうか。あまり意識しないで自然にいくこと、ここが韓国だからこうしないといけないという風にかしこまらないでいくと楽しいのではないのでしょうか。

● 司会:そうですね。みなさんのおっしゃるとおり、まずは、違いを理解するということが大事なんですね。違いがあるから文化が生まれるわけですから。

出処:ソウルジャパンクラブの会員誌、第18号より(2006年7月)